増田伊之助茶園では、「心の日本茶」と書いて「しんのにほんちゃ」と読みます。「心」という言葉は、精神作用や感覚的にとても幅広い意味を持ち多くの感情や感覚が思い浮かぶ言葉です。私たちは、自らの心に込められた、「正しく」「本物の」「心を込めた」という思いを、決して裏切ること無く、また受け取る方の心へ、その思いを伝え感じて頂けるようなお茶づくりを心から目指しています。その思いがブレること無く、常に自らに言い聞かせるため、「心(しん)の日本茶」という言葉でそれをシンプルに表現しています。
今から300年ほど前から続く増田家は、芋やごぼう、麦などを栽培しておりましたが、先祖代々の土地に大津壁に使う土が畑に埋まっていることを発見し財を成しました。今でも現存する増田家の蔵は、この土で繁栄した歴史の一部を物語っています。そして100年ほど前に、私の亡き曽祖父である増田伊之助が茶に興味を持ち、手もみ茶を造り始めたのが当園の日本茶づくりの始まりです。
その後昭和中期となり、私の父が高校卒業と同時に茶の栽培を本格的に開始しました。当初は、実生(みしょう)という、いわゆる茶の種をまいて茶園を作る栽培法でした。その後、茶の品種化が叫ばれ、当園も徐々に実生から品種茶に切り替えて行きました。当初はすべての茶葉を茶問屋へ販売していましたが、その後自宅の一角に店舗を設け、恐る恐る一般消費者への小売り販売を開始したのです。
平成に入り、わたくし増田義紀が、静岡県にあるお茶の学校で学び、家業の茶園を継ぐため家へ戻りました。関東の美味しい日本茶づくりのために、様々な実験や試みを行いそれらを発表しました。しかし本物にこだわった日本茶づくりをする中で、日本茶はペットボトルで飲む時代へと変化して行ったのです。今ではあまり知られていない、とても古い歴史がある関東の日本茶づくり、私は本来の価値ある日本茶を皆様にお届けするため、良い伝統は原点回帰し繋ぐ、革新するものは勇気を持って変えるという姿勢で茶づくりを行っています。
当園は、当園のみの茶葉を使用した日本茶づくりを行っています。価値ある、究極のシングルオリジン作りを目指しています。現在順次、増田園から当園の原点である、曽祖父の名を表した増田伊之助茶園と名称を変更し、初心に帰って更に価値ある日本茶の開発を進めています。今後も、寝かせて美味しくなるお茶、本物の蔵出し茶、徳川時代の壺だし茶の復活とそれらの現代化など様々なお茶づくりに挑戦して参ります。
有限会社 増田園
代表取締役社長 増田義紀