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お茶は蒸しで決まる

「お茶は蒸しで決まる」と言われている。

 

「若むし」「普通蒸し」「深むし」など、全て「蒸し」を強調している。他にも日本茶の製造行程は、「粗揉」(そじゅう)「揉捻」(じゅうねん)「中揉」(ちゅうじゅう)「精揉」(せいじゅう)などもあるが、これらの行程は、「蒸し」ほどお茶の品質に及ぼす影響は少ないというのが、増田伊之助茶園茶葉研究所で得た結果である。それだけお茶は蒸し方が重要であると言える。

 

特に「深蒸し茶」という言葉は、広く行きわたっており、お客様から「深むし茶下さい」とか「深むしありますか?」と聞かれることが多い。私が静岡の全寮制の学校で「深むし茶」について学んだ記憶は、東京の水だったような記憶がある。

 

昭和30年代~40年代の東京の水は、とても不味く、その水に負けないようなお茶を開発したと講義で学んだことを覚えている。普段は、居眠りが多かった私であるが、「深むし茶」については先生の話を聴いていた様である。(苦笑)

 

日本茶は、茶畑で摘まれた新芽を製茶工場に運び、まず「蒸す」のであるが、この「蒸す」時間の長さによってお茶の品質が決まる。「お茶の蒸しで8割りは決まる」と言われるが、私は、ほぼ99.9%ここで決まると考えている。

 

この「蒸し」の表現が茶業界独特の表現であるが、「甘涼しい匂い」と言われている。甘くて涼しいである。この匂いを感じるように、「蒸気の量」「新芽の投入量」蒸し機の「回転」及び「通過時間」を瞬時に設定する。中でも「通過時間」が短いのが「若むし」長いのが「深むし」になる。

 

増田伊之助茶園では、さらに「新芽に刺激を与えて葉緑素を浮き上がらせる」特殊な製法を行っている。蒸し機に付いている攪拌棒があり、回転が遅いと製品の色は黒っぽく、香りは青臭く、味も薄い。一方、速過ぎると、葉切れしてしまい、製品の色は緑を通り越して茶色になり、香りは重く、味も苦渋みが強い。

 

お茶は、野菜や果物と違って生で食する事が出来ずに加工をしなければならない。いくら良い新芽でも、「蒸し」で失敗してしまえば元の子もない。一方、新芽の格がワンランク下でも、蒸す技術があれば、それを上回ってしまうことが現実である。

 

増田伊之助茶園茶葉研究所としてのランク付けは・・・

①新芽が最高の状態で、蒸す技術も一流。

②新芽の状態は最高ランクとは言えないが、蒸す技術は一流。

③新芽の状態は最高ランクであるが、蒸す技術が二流。

そして最後は・・・

④新芽の状態が悪く、蒸す技術も二流。

 

もちろん、増田伊之助茶園は常に①を保てるよう調整し努力している。世の中に広く普及している「深むし茶」は、残念ながら、お茶本来の蒸しである「甘涼しい匂い」を通り越して造る製法に他ならないのである。

 

増田伊之助茶園では、お茶本来の「甘涼しい匂い」のお茶を製造し販売しております。